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学院紹介

教員プロフィール

川嵜 義和 / KAWASAKI Yoshikazu

川嵜 義和
職 名:
特任准教授
担当講座:
メディア文化論

担当授業

文化形成論演習

授業内容

アゴーンの形成・発展を考える

人類の文化の歴史は現在4万年にわたると考えられているが、その長い歴史の過程で一文化現象であるアゴーン(競技)がどのようにして芽生え成長して行ったかについて、本演習では主としてスポーツや文芸のアゴーンに関する豊富な文献・考古資料に恵まれた、オリンピックの発祥地である古代ギリシアを例にとって概観しながら、その形成から衰退にいたる一連の歴史的流れの背後にある様々な要因(宗教、政治形態、社会構造等)を考察する。また、一千年余りに及ぶ(紀元前776年~紀元後393年)古代オリュンピア競技の変遷を具体的にたどり、今日のオリンピック競技との主な相違点(民族意識、宗教性、参加者の階層等)を分析するとともに、この競技の様々な問題点(初回が紀元前776年であったか、紀元前8世紀末まで競走が唯一の種目であったか等)を紹介、考察する。加えて、古代オリュンピア競技と現代オリンピックが共通して抱える、プロ化、政治干渉、贈収賄等の諸問題を検討し、その要因を探ってみたい。

略歴・主要業績

東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。
主要業績: ①「アイスキュロス劇断片78a,c Radt(ΘΕΩΡΟΙ Η ΙΣΘΜΙΑΣΤΑΙ)について」、『西洋古典学研究』43(1995)1-11、②『キケロー選集』第13巻「書簡I」(共訳)(岩波書店、2000)、③「コリンナ詩断片654(a)col.i PMGについて」、『北海道大学「大学院国際広報メディア研究科・言語文化部紀要」』47(2004)175-190など。

北海道大学研究者総覧 個人ページ

所属学会

日本西洋古典学会

電子メール

kawasaki@imc.hokudai.ac.jp

研究領域

叙事詩の環、文芸競技、体育競技

研究コラム

〔現在の研究〕 紀元前8世紀後半頃の作と推定されているホメーロスの二大詩(『イーリアス』、『オデュッセイア』)と「トロイア戦叙事詩圏詩」と呼ばれる一連の英雄叙事詩の相互関係という、半世紀余りにわたって論争が繰り広げられている複雑難解な問題点に以前から深い関心を抱いていたが、最近その議論の中核となるテーマ、すなわち『イーリアス』と散逸叙事詩『アイティオピス』の相互・借用関係に焦点をあてて考察、分析を進め、その際この二詩に見られる戦死者追悼の競技(具体的にはそれぞれ、パトロクロスのための葬礼競技、アキレウスのための葬礼競技)の描写を比較検討し両者の文芸上の借用関係を明確化することによって、その二詩の関係をより明らかにすることを新たな課題とし、そして古代ギリシアの運動競技やオリュンピア競技との比較を拠り所としながら考察・検討を試みている。しかし、紀元前776年に始まったと伝承されるオリュンピア競技会の初期の種目やプログラム、『イーリアス』第23巻の詳細な葬礼競技叙述の作成年代、この競技場面が反映していると考えられる時代等々については不明な点が多く、現在こうした問題点にも考察を加えながら解明の糸口を模索し続けている。