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研究院紹介

メディア・コミュニケーション研究院長あいさつ

山田 義裕

メディア・コミュニケーション研究院のウェブサイトにようこそお越し下さいました。また、本研究院に関心を持っていただき、心よりお礼申し上げます。

さて、メディアの報道などでご存じかと思いますが、今日本の国立大学・大学院は大きな変革の時代を迎えつつあります。大学・大学院はこれまで行ってきた学術研究を踏まえていかにそれを社会へと還元するか、最近はやりの言葉を使うと、アカデミック・インパクトだけではなくソーシャル・インパクトの強い研究が期待されています。日本の各国立大学・大学院は、こうした流れの中で、この二年ほどの間に、それぞれの強み・特色・社会的役割を明確にすべく、教育研究の分野ごとに「ミッションの再定義」という自己規定を行いました。本研究院は、北海道大学において「国際広報メディア学」と「観光創造学」を通じて社会科学分野の中の「メディア・観光学」の教育研究を推進し、さらにそれを社会へ還元するというミッションを担う組織として特徴づけられています。

本研究院では、広報・ジャーナリズム研究、言語コミュニケ−ション研究、メディア文化研究、多元文化研究、ツーリズム研究など人文社会科学の多様な分野を架橋しつつ領域横断的研究を行っております。それぞれの研究分野のディシプリンのもとで先端的な研究を継続する一方で、グローバル化の中でますます複雑さを増す現代社会で新たに生まれつつある諸問題を把握し解決の糸口を探るべく、国内外の研究者の協力も得ながら学際的な共同研究プロジェクトを推進してきました。特に2009年に東アジアメディア研究センターが設置されて以来、メディア・ジャーナリズムの研究者を中心に東アジアの地域研究が活発になっています。今後、東アジアメディア研究は、地域研究としての対象領域を東南アジアや極東そしてアジア太平洋地域へと広げつつ、特に日本と他の東アジア地域の比較研究を強化すべく構想を練っているところです。関連する研究分野についても、メディア・ジャーナリズムに加えて、メディアと文化あるいはコミュニティとツーリズムを組み込むことで、現代社会が抱える課題に多角的視点で取り組む予定です。

東アジアメディア研究を中心とする共同研究は、大型科学研究費の採択や共同研究の著書出版という形で具体的な成果となって現れています。例えば、この半年の間(2014年10月以降)だけでも、『越境するメディアと東アジア―リージョナル放送の構築に向けて (東アジアメディア研究の地平) 』(勉誠出版)、『拡散するリスクの政治性―外なる視座・内なる視座』(萌書房)そしてVoices from the Shifting Russo-Japanese Border: Karafuto / Sakhalin ((Routledge Studies in the Modern History of Asia)など、共同研究を基盤とする研究書が次々と出版されております。

メディア・コミュニケーション研究院は、研究院と同時に設置された教育組織である国際広報メディア・観光学院において、こういった研究成果を大学院生の教育へと還元しております。国際広報メディア・観光学院は、国際広報メディア専攻と観光創造専攻の二専攻からなる大学教育組織で、これまで多くの研究者や高度専門職業人を育成し社会に送り出してきました。彼らは現在、大学等の高等教育機関、官公庁、メディア関連企業、情報通信関連企業、観光関連企業など社会の様々な領域で活躍しています。また、研究院の教員は、国際広報メディア・観光学院だけではなく、教育学院の多元文化教育論講座においても、大学院生の教育・指導に携わっております。

最後に、メディア・コミュニケーション研究院のもう一つの顔に触れておきましょう。研究院に所属する教員は、メディアとコミュニケーションに関する研究を行うと同時に、外国語教育センターを兼務することで北海道大学の外国語教育の企画・調整・実施に関して中心的役割を担っております。また、本研究院外国語教育研究部の外国人特任教員は、研究院の共同研究に参画しながら、英語による教育などキャンパスのグローバル化推進に大きな役割を果たしています。これら外国語教育に関する活動について興味のある方は、外国語教育センターのウェブサイト(http://www.imc.hokudai.ac.jp/lang/)にアクセスして下さい。

現代社会というのは、近代という爆発期から未来の定常期への過渡的状況であると分析する社会学者がいます。この社会学者によると、現代社会は「情報化」と「消費化」の二つのコンセプトで特徴づけられると述べています。この10年を振り返ると、とりわけこの間の情報化と消費化の進展のスピードは速く、またその意味するところも根本的なところで質的に大きく変容しつつあります。情報化について言うと、インターネットは当初の巨大データベースからソーシャルメディアのプラットフォームへと機能を拡大し、消費化についても、アルヴィン・トフラーが予言したように、生産と消費を融合するプロシューマーたちが活躍する参加型消費の現象が目立ち始めました。さらに、肥大する巨大ネット空間と現実空間とが相互に作用することで私たちのコミュニケーション様式は大きく変容し、グローバル化にともなう人の物理的移動の活発化により、私たちの交流や共同性の形も激変しつつあります。これらの情勢の変化を契機に生まれつつある現代社会の新たな問題に対処するためには、メディア・コミュニケーションの研究も、今後さらに異分野を融合しつつ、異業種との連携も積極的に強めることで、その想像力/創造力を鍛え直す必要があると考えております。私たちとともに、メディア・コミュニケーション研究の新たなフロンティアに踏み出そうとする方がおられましたら、是非とも本研究院の共同研究プロジェクトにご参加下さい。

大学院メディア・コミュニケーション研究院長
山田 義裕