2012年1月25日本研究院青山准教授が第8回日本学術振興会賞を受賞

日本学術振興会は、平成24年度第8回本学術振興会賞を発表。本学院より、青山 和佳(アオヤマ ワカ)准教授が受賞しました。受賞を心よりお喜び申し上げます。以下、日本学術振興会による授章理由を掲載します。



授章対象: 「フィリピンにおける貧困の民族誌的研究―ダバオ市のサマ・バジャウの社会経済生活」 (An Ethnographic Study of Poverty in the PhilippinesSocio-Economic Life of the Sama-Bajau in Davao City)


青山和佳氏は、フィリピンのダバオ市における少数民族に対する詳細で内在的な文化人類学的フィールドワークを基盤に、開発経済学やアマルティア・セン(インド経済学者)の貧困概念等に基づく理論的アプローチを接合し、独創的な研究成果を挙げた。従来、その実態がよく知られていなかった少数民族サマ・バジャウの都市生活について、第一次資料を収集し多くの貴重な事実を明らかにしただけでなく、少数民族のアイデンティティという要素を、明示的に福祉指標として用いるというアプローチを開発した点に独自の貴重な学問的貢献がある。従来の諸学説を十分に咀嚼し批判的に再検討しつつ、同時に、現地の複数の言語(セブ語とサマ語)の修得に努め、現地の人々と生活を共にするというフィールドワークに従い、両者を組合せることで、従来の研究水準を突破する業績を達成した。青山氏は、開発援助論や貧困に焦点を当てた、今後の地域研究をリードする人材として更なる活躍が期待される。