2019年2月21日鍋島孝子准教授による『激動のアフリカ農民: 農村の変容から見える国際政治』(単著)出版のお知らせ

公共伝達論講座・鍋島孝子准教授による書籍『激動のアフリカ農民: 農村の変容から見える国際政治』(単著)が明石書店より出版されました。

内容紹介:
アフリカの農民は、国際政治経済に影響を及ぼすことのない無力と見なされ、これまで研究対象とされてこなかったが、実は国際政治の歴史の狭間から生まれた破壊的な政治的アクターである。そして、アフリカ農村が排他的民族の温床であり、その民族性とは歴史的に形成された虚構の集団であるとの痛烈な結論に至った。

序論 問題の所在 
   方法論 
   構成 

第1章 農村を巡る理論 
   第1節 人類学・社会学的側面
    1. 農民の文化 
    2. 農業の経済活動 
    3. 「外」と関わる社会組織 : ヨーロッパ封建制との比較 
   第2節 政治理論から 
    1. 権力構造と市民社会 
    2. 産業革命から社会主義まで 
    3. 政治社会学 
   第3節 国際秩序の中の農村共同体 
    1. 最周辺からの反逆 
    2. 内政と国際政治の狭間から生まれるナショナリズム 
    3. アクターから見る方法論 : 占領軍と宣教師の方法を超えて
   第4節 変容理論と地域研究 
    1. 近代化と国家体制 
    2. 大国の外圧 : 勢力均衡から冷戦、グローバリゼーションまで 
    3. 文化変容 

第2章 マダガスカル 
   第1節 変容以前 
    1. 地理・概観・人種 
    2. 王制 
    3. 伝統的農村共同体 
   第2節 植民地 
    1. 社会の変動 
    2. 伝統的農村共同体の変容 
    3. ナショナリズムの形成 
   第3節 社会主義政権 
    1. 暫定政権の改革 
    2. ラチラカ政権 
    3. アナーキーとなった農村 
   第4節 グローバリゼーション 
    1. 民主化 
    2. 構造調整期 
    3. 「民族」の形成と国民の意思 

第3章 アフリカ政治社会学 
   第1節 大国への反発から生まれた戦略 
    1. ヨーロッパの植民地政策 : 侮蔑 
    2. 独立運動とアフリカの復権 : 作られる「伝統」と「民族」
    3. 冷戦の「最周辺国」アフリカへの介入 : 分離独立と「民族」 
   第2節 国家との乖離から生まれたアクター 
    1. 国家エリート 
    2. 大衆農民と伝統的首長 
    3. アフリカにとっての民主化 
   第3節 暴力の構造 
    1. 国家による犯罪 
    2. 安全保障の問題
    3. リベラリズムと国際社会の介入 
   第4節 民族中心主義 
    1. 比較研究 : ルワンダ 
    2. 作られる民族意識 : 国民国家の下の煽動 
    3. 農民の「第三のアイデンティティ」 

結論 農村政治学と国際政治社会学の確立 
   アフリカ農村共同体の変容 
   虚構の民族の政治化とアフリカへの寛容さ 
   今後の課題 


『激動のアフリカ農民: 農村の変容から見える国際政治』表紙