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研究院紹介

教員プロフィール一覧

増田 哲子 / MASUDA Noriko

職 名:
准教授
専 攻:
国際広報メディア専攻
担当分野:
メディア文化論

担当授業

視覚文化理論演習

授業内容

身体を揺さぶる「イメージ」とは何か

 これまで、18世紀スペインの画家フランシスコ・ゴヤの作品を対象として研究を行ってきました。ゴヤ
の作品は主題も技法も多岐に渡りますが、私は次の2点の問題にとくに関心をもっています。ひとつは、「近代」という時代の面白さです。ゴヤは18世紀末から19世紀へという、西欧における大きな思想的・文化的転換期に制作を行っていました。ゴヤの芸術作品には、古典主義的な世界から近代へという歴史的なうねりや揺れ動きが、ときにグロテスクに、ときに率直に描写されています。もうひとつは、「イメージが持つ力、鑑賞者に喜び、快楽、動揺、恐れ、あるいは不安や羞恥といった「身体的」とも言える作用をもたらすイメージの力の問題です。たとえば、ゴヤが描いた残酷な戦争の場面を初めて観たときの「ショック」とは何なのでしょう。イメージが私たちに及ぼす力や作用について知るためには、その主題や内容を分析・読解しただけでは不十分です。授業では、この問題に焦点を当て、イメージへの多様なアプローチの仕方や扱い方について、美術史の研究手法をふまえつつ、哲学や文学の概念も参照しながら紹介していきたいと思います。

経 歴

筑波大学大学院博士課程人文社会科学研究科修了。博士(文学)。「ゴヤの《わが子を食べるサトゥルヌス》における「食べること」のイメージ」(『美学』239号, 2011年)、「フランシスコ・ゴヤの『戦争の惨禍』における傷ついた身体とアブジェクトな身体」(『論叢 現代語・現代文化 筑波大学人文社会科学研究科』第4号 2010年)等。

所属学会

美学会、スペイン・ラテンアメリカ美術史研究会

電子メール

nrkmasuda@imc.hokudai.ac.jp

研究領域

近代西洋美学・美術史、スペイン美術、視覚文化研究

研究コラム

これまで、18世紀スペインの画家フランシスコ・ゴヤの絵画を対象として研究を行ってきました。ゴヤの芸術作品は、肖像画から諷刺版画、戦争画、市井の人々を活写した素描まで、主題も技法も多岐に渡ります。これらの多種多様な作品を分析していくなかでとくに私を惹きつけるのは、次の2点です。

ひとつは、「近代」という時代の面白さです。ゴヤは18世紀末から19世紀へという、西欧における大きな思想的・文化的転換期に制作を行っていました。端的に述べると、現実社会では旧体制の崩壊と新しい体制の誕生が起こり、他方、芸術や文化の世界では古典主義的な「美」の絶対性が揺らぎ、ロマン主義的なもの、非理性的なものが立ち現われてきます。このような時代の混沌のなかから、現代の社会・文化の基礎となるような「近代的な主体」が作られてきます。ゴヤの芸術作品には、古典主義的な世界から近代へという歴史的なうねりや揺れ動きが、ときにグロテスクに、ときに率直に描写されています。

もうひとつは、「イメージ」が持つ力、鑑賞者にときに喜びや快楽を与え、ときに動揺や恐れ、あるいは不安や羞恥をも与えうるさまざまなイメージの作用です。たとえば、ゴヤが描いた残酷な戦争の場面を初めて観たときの「ショック」とは、何なのでしょう。イメージが観る者に及ぼす力や作用について知るためには、その主題や内容を分析・読解しただけでは、まだまだ不十分です。鑑賞者の目の前にあるのは、一葉の絵画や写真といった「表面」かもしれません。しかし、その「表面」は、まるで鑑賞者に直に触れるように、さまざまな感情や感覚を引き起こします。

「特別演習」の授業では、後者の問題に焦点を当てます。すなわち、イメージがもたらす「身体的」とも言える作用を出発点として、イメージへのさまざまなアプローチの仕方や扱い方、その多様性について、美術史の研究領域をふまえつつ、哲学や文学の概念も参照しながら紹介していきたいと思います。