城山 英巳 / SHIROYAMA Hidemi

  • 城山 英巳
    職名:
    教授
    担当分野:
    ジャーナリズム論

担当授業

マスメディア論演習

授業内容

埋もれた歴史事実を発掘する「調査報道」通じてジャーナリズムが持つ可能性を探求する。ジャーナリズムの役割とは何だろうか。世界で流れる雑多な「情報」や「ニュース」に対し、専門訓練を受けたジャーナリストが取材や調査を通じて「事実」や「真実」を獲得し、その背景にある問題点も合せて、読者や市民が考える判断基準を提示するのは大きな役目である。同時に公権力に対する監視も大きな責任であろう。演習の中では、「メディアと権力」の攻防を考える中でジャーナリズムの存在意義を考えたい。

演習でテーマとするのは「歴史」との対話である。同時代の問題を扱うジャーナリズムは、過去がテーマとなる歴史とはあまり関係ないと思われるかもしれないが、「歴史」があって「現在」があり、現在も歴史を通じて考察すれば、より理解が深まる。

歴史を通じて現在を知るというケーススタディとしては、日本と中国に関した戦前・戦中・戦後の歴史事件を扱いたい。授業のたびに当時の記事や写真を提示するが、内容だけでなく、見出しや表記、紙面構成、広告なども読み込む。それらを通じて記者・カメラマンら記録者の意図、編集者や報道機関の方針、メディアと権力の関係などを探る。

こうした歴史を読む作業を続ければ、おのずと現在との連続性や断絶・変化が見えてくるはずである。こうした点を踏まえ、今の日本のマスメディアが抱える権力と距離感や構造的欠陥なども追求してみたい。

さらに今、我々が学校などで習う歴史は当然のことながら全てではなく、いまだ多くの歴史事実が謎であり、明らかになっていないものも数え切れない。公権力によって隠されたままになっている事実も多い。そうした埋もれたり隠されたりした歴史事実を掘り起こす調査報道の重要性を理解し、実際にチャレンジしてみようというのが、演習のもう一つの課題である。こうした取り組みを「歴史ジャーナリズム」と呼ぶことにしたい。

調査報道にはその記者が取材しなければ明らかにならない事実の発見、ファクトの積み重ねの大切さ、権力監視の視点など、ジャーナリズム論の重要な要素が詰まっている。調査報道によって明らかにする歴史ジャーナリズムでは、外交記録や情報公開制度の活用、オーラルヒストリーの実施などの手法を使い、テーマ設定から現場調査、資料収集、取材、編集作業、記事作成、社会発信に至るまでの方法論を学び、受講者にもチャレンジしてもらう。

略歴・主要業績

慶応義塾大学文学部卒業後、時事通信社で27年間にわたる記者生活。東京地検特捜部の担当のほか、2度計10年間にわたり北京特派員を務める。北京特派員中の2014年、中国外交文書を使った戦後日中関係に関する調査報道のスクープでボーン・上田記念国際記者賞を受賞。早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程修了、博士(社会科学)。

著書に第22回アジア・太平洋賞特別賞(2010年)を受賞した『中国共産党「天皇工作」秘録』(文春新書、2009年)、『中国臓器市場』(新潮社、2008年)、『中国人一億人電脳調査』(文春新書、2011年)、『中国消し去られた記録―北京特派員が見た大国の闇』(白水社、2016年)。

北海道大学研究者総覧 個人ページ

電子メール

shiroyama@imc.hokudai.ac.jp

研究領域

現代中国論、日中関係史、ジャーナリズム論