「首塚」といえば、東京都心部に端座する平将門の首塚が有名であるが、こうし
た前近代の戦争で死亡した人物の亡骸の一部または全部を埋葬したと伝えられる
遺跡は、日本全国で700箇所近くが確認される。しかし、その伝承内容は必ずし
も史実を反映していない。それらをめぐるもっともらしいナラティブは、徳川時
代に形成されたと思われる事例が多く、しかも、それらが「塚」という物体とセ
ットになり「史実」と認識されるというのは、実は日本的な現象であるとさえい
える。その背景には、「ダークツーリズム」などという言葉がなかった前近代以
来の人々の観光行動があった。
本講演では、上記の事例のいくつかを紹介しながら、日本における「ダークツー
リズム前史」を展望したい。
【略歴】
室井康成(むろい・こうせい)
1976年、東京都生まれ。建設資材販売会社勤務。
総合研究大学院大学文化科学研究博士課程修了。
専攻は民俗学、東アジア近現代思想史。
著書に『柳田国男の民俗学構想』(森話社)・『首塚・胴塚・千人塚-日本人は
敗者とどう向きあってきたのか』(洋泉社)、共編著に『〈人〉に向きあう民俗
学』(森話社)・『柳田国男の学問は変革の思想たりうるか』(梟社)がある。
お問い合わせ先:奈良雅史(北海道大学メディア・コミュニケーション研究院)
E-mail: naramasashi[at]imc.hokudai.ac.jp([at]を@にかえてご送信ください)
以下にポスターを添付します。
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