2011年7月25日懸賞論文コンテスト、本学院からトリプル受賞!

社団法人北方圏センター主催の懸賞論文コンテスト、『北海道にとっての国際交流――。その意義を問い直す』に、本学院から最高賞である優秀賞2件、特別賞1件と、あわせて3件の受賞者が出ました。

1、優秀賞: 「北海道における医療・健康をテーマにした国際交流の展開~中国人等を対象としたインバウンド医療・健康ツーリズム戦略の提案~」

優秀賞のうち1件は、本学院の授業から直接生まれたもので、北村倫夫先生と、本学院ジャーナリズム論講座で先生が担当される「パブリックセクター広報論演習」に参加していた学生、李玉雪、王玲、仇帥新さんによる共著論文です。この「パブリックセクター広報論演習」は、自治体等の新しい事業や広報のあり方について検討し、外部へ提言する実習を行う授業です。受賞論文はその去年度の成果をまとめたものでした。

論文執筆に関わったこの四人の言葉を聞いてみましょう。

北村先生: 平成22年度は、学生より本懸賞論文に応募したいとの提案があり、中国、国際交流、事業・広報戦略の全要素を織り込める「医療・健康ツーリズム」をテーマに皆で挑戦した。難しいテーマのためやり通せるか不安もあったが、学生の努力と集中により短期間で調べまとめることができた。受賞は、我々にとって大きな喜びである。

仇さん: 論文を通して、様々な視野が広がり、前の自分よりも一段と成長することができました。また、この論文が北海道の役に立つことができたら大変嬉しいと思います。

李さん: インタービュー調査を通して、私は北海道の政府と医療機関の中国観光客に対する熱意と誠意を感じました。今後も北海道の資源を活かして中日交流を促進したいと思います。

王さん: 皆と力を合わせてできた論文が受賞できてとてもうれしいです。論文を書くプロセス全体を通して、私は意思疎通のできる環境が個人の力を発揮できる要件だと分かりました。


2、優秀賞  「地球規模の問題提起、担い手の多様化、社会的な経済活動」

 もう一件、最高賞である優秀賞を受賞したこの論文は、本学院広報論講座に在籍されていた大塚聡子さん。
 地域の発展を促すために、グローバルな視点でローカルを考える。言うは易く行うは難いこのモットーを、どう解釈し、どう具体的な行動につなげるか。このために彼女が設定した軸は、「北海道の国際交流」です。1. この国際交流の担い手を多様化し、2. その内容に経済的な取り組みを掲げ、3. 国際交流と持続的な地域の発展が融合したイメージを提示する、という3点から論を展開。どのように北海道を活気づけ、持続可能な発展に導いていけるか、提案をまとめ、北海道民としての地域活性化への夢を託されたものです。彼女の言葉を聞いてみましょう。

「本論文は、道民のひとりとして感じる北海道への危機感と、北海道がこうあってほしいという希望を込めて執筆しました。受賞はその考えに共感が得られたのだと理解しており、大変うれしいです」



特別賞:「『共生空間』北海道の創造-国際交流を通じた地域発展を目指して-」

特別賞に輝くこの論文を書かれたのは、本学院、メディア文化論講座の佐藤孝子さん。彼女は1997年から2年間、青年海外協力隊に参加し中国の黒龍江大学で日本語教師を務めた経験から「多文化共生」というテーマに大きな関心を抱くようになったそうです。さらにまた、道職員として国際交流業務に携わってこられました。そこで得た経験をベースに、本学院で  専門的な知識を深めて、本道における多文化共生に力を尽くしたいと研究に取り組んでいたところ、本懸賞論文の募集を知り、応募されたそうです。

論文では、我が国に定住する外国人が増加していることを踏まえ、『「共生空間」北海道の創造-国際交流を通じた地域発展を目指して-』と題し、本道がこれからも持続的に発展するためには、外国人を積極的に受け入れるための仕組みを整える必要があることを提言されました。

ではその「共生空間」とは、どういうものでしょう? それは、総務省の多文化共生の定義である「国籍や民族などの異なる人々が互いの文化的ちがいを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと」を踏まえながら、本道開拓の長い歴史をかけて培われた道民のオープンな気質を活かして、多文化 共生社会を目指すというものです。


東アジアとの文化交流を中心に、グローバルな視点にもとづきながら、北海道という地域へのまなざしを忘れない、本学院の研究・教育姿勢の成果をよく反映した結果にもなりました。

 みなさん、おめでとうございます。