2019年6月11日パイチャゼ助教、宮下名誉教授、玄教授、平井博士研究員らによる『Россия и страны АТР: миграционные процессы и проблемы межкультурной коммуникации. Азия в России』(共編著)出版のお知らせ

観光文化論講座のパイチャゼ・スヴェトラナ助教、宮下雅年名誉教授、メディア文化論講座の玄武岩教授、メディア・ツーリズム研究センターの平井健文博士研究員らによる書籍『Россия и страны АТР: миграционные процессы и проблемы межкультурной коммуникации. Азия в России』(под редакцией С.С. Пайчадзе и И. А. Вальдмана) (邦題:S. パイチャゼ・I. ヴァルドマン編著『ロシアとアジア太平洋諸国:移住プロセスと異文化コミュニケーションに関する諸課題 ロシアの中のアジア』)が、ノヴォシビルスクの出版社Изд-во НГТУから出版されました。

【内容紹介】
アジア太平洋諸国における国境の揺らぎ、隣国への自発的/強制的な移住、国民共同体/ディアスポラの形成……これらを促す地政学的プロセスはいかなるものなのか。本書は、ロシア、日本、韓国、カザフスタンの研究者が、この課題をそれぞれの研究領域から検討した論集です。なお本書は、北海道大学メディア・コミュニケーション研究院と、ノヴォシビルスク州立工科大学社会学・マスコミュニケーション学科との共同研究の成果でもあります。

【目次(訳)】
第1部 極東における新しい境界、移住者、越境するエスニック・コミュニティ
 第1章 「中央―辺境」の二分法の下での移住:1860~1910年代のブリティッシュ・コロンビア州およびプリアムール地域における日本人コミュニティを事例に(I. サヴェリエフ)
 第2章 北東アジアにおける越境的影響力:1860~1890年代の稲佐とウラジオストクにおける公衆衛生の発展(中地美枝)
 第3章 越境するエスニック・メディア極東ロシアの沿海州を中心にするコリアンのメディア・ネットワーク(玄武岩)
 第4章 カザフスタンにおけるコリアン・ディアスポラの人々とモビリティ(G. キム)
 第5章 ロシア極東地域における中国人移民の規制:歴史的経験と現代における諸課題(A. ドゥルジャーカ)
 第6章 シベリア、極東およびアジア太平洋諸国のロシア人居住地における中国・日本・朝鮮の科学的・教育的書籍の出版:革命以前において(V. エルリヒ)
第2部 変わりゆくフロンティア、サハリンにおける移住と国民共同体
 第1章 サハリン島への朝鮮系住民の移住とその悲劇(19世紀後半から1937年)(A. クージン)
 第2章 サハリンの日本人:樺太における日本人移民社会の形成と崩壊(中山大将)
 第3章 南サハリンのコリアンの戦後における帰還とコリアン・ディアスポラの形成(Y. ディン)
 第4章 戦後サハリンにおけるナショナルな自己アイデンティティの形成(S. パイチャゼ)
 第5章 サハリン残留韓国・朝鮮人の帰還をめぐる日韓の対応と認識-1950~70年代の交渉過程を中心に-(玄武岩)
 第6章 サハリンにおけるコリアンと日本人、そして今日における帰還(Y. ディン・S. パイチャゼ・玄武岩)
第3部 異文化間の相互認識
 第1章 樺太への帰郷:長らく離れた「ふるさと」はどのように再構築されるのか?(宮下雅年)
 第2章 日本における産業遺産の多元的な文化的価値:サハリンにおける製紙工場跡の保全を検討するために(平井健文)
 第3章 現代ロシアのメディア空間で放映される日本のアニメ映画のキャラクターに表象される行動属性(S. ストロジェワ)
 第4章 1990~2015年における極東州科学図書館と黒竜江省図書館との協働(I. フィラトキナ)
第4部 移住プロセス研究の理論的側面
 第1章 移住についての経済学的理論:概念化の社会的・哲学的な基盤(Y. ベリスカヤ)
 第2章 グローバルな移住における文化的アイデンティティ形成の要素として近代教育(G. パルシュコワ)
 第3章 地政学と近代社会の国民意識におけるディアスポラ、国外退去、帰還(I. ヴァルドマン・S. パイチャゼ)
第5部 補論:歴史のプリズムを通して見た運命
 第1章 3つの運命(S. パイチャゼ)
 第2章 歴史と記憶(小山内道子)
 第3章 タンポポは凍土に咲く(片山通夫)

『Россия и страны АТР: миграционные процессы и проблемы межкультурной коммуникации. Азия в России』表紙