2020年10月22日奥聡教授による『日本語研究から生成文法理論へ』(共著)出版のお知らせ

言語習得論分野奥聡教授の論文「スクランブリングか?QRか?ラベル付けに基づくアプローチ」が、斎藤衛[他編]『日本語研究から生成文法理論へ』(開拓社)の第4章として、出版されました。

『日本語研究から生成文法理論へ』表紙

これは日本を代表する生成文法研究者19名による書下ろしの論文集で、「ヒトの言語知識とその獲得過程を主な研究対象とする」分野で、Chomsky (1986) に端を発する極小主義アプローチ基づく最新の「理論言語学の状況を踏まえた上で、日本語を中心とした比較統語論研究や言語獲得研究を通して、統語理論の発展に寄与し、日本語の類型論的特徴に説明を与えることを目的とした」研究プロジェクトの成果の一部です。

奥教授の論考は、日本語は比較的自由語順を許すが語順に反する数量詞の解釈は許さないのに対し、英語は語順に対する制限が厳しいが語順に反する数量詞の解釈を許すという古くからの観察に対して、Chomsky (2013, 2015) のラベル付け(統語体の文法上の種類を特定する仕組み)に基づく、新しい分析・説明を提案する大変意欲的なものである。

出版社のサイト:
http://www.kaitakusha.co.jp/book/book.php?c=2288