2026年4月6日天田顕徳准教授・斎藤拓也教授・藤野陽平教授編『危機の時代のメディア論』出版のお知らせ

院内共同研究プロジェクト「危機とメディア」研究の成果として、天田顕徳・斎藤拓也・藤野陽平編『危機の時代のメディア論:思想と現場から問い直す「つながり」の現在地』ナカニシヤ出版、2026年3月が刊行されました。

COVER
出版社ホームページ(https://www.nakanishiya.co.jp/book/b10166190.html

【目次】
序章 「危機」の時代を生き抜くために  天田顕徳・斎藤拓也・藤野陽平

1 はじめに
2 社会的な存在としての危機
3 リスクと危機
4 危機の時間性
5 危機とメディア
6 考察の対象と本書の構成

第1部 持続する危機と継続する社会:技術・儀礼・コミュニティの再接続

第1章 ラインハルト・コゼレックの危機の概念  斎藤拓也

1 危機概念の射程
2 原点としての『批判と危機』:近代世界の病理診断
3 経験と期待の裂け目:近代の歴史的時間としての危機の生成
4 『歴史的基本概念』における危機概念の体系化
5 新たな問いと危機論の展開:核兵器と環境破壊の脅威

第2章 コロナ禍におけるLGBTQのプライド・パレード
 儀礼から考えるオンラインでのパレード  斉藤巧弥

1 はじめに
2 メディア、社会運動、儀礼
3 事例の概要
4 オンラインでのパレードの再現
5 儀礼としてのパレードと喪失の回復
6 おわりに

第3章 外国で被災するという経験
 外国人が集まり乗り切った危機  藤野陽平

1 はじめに:外国で遭遇する危機に
2 東日本大震災と宮古の被災の概況
3 宮古の外国人たちはどのように震災を体験したのか
4 外国人の場所というメディアとしてのオーシャンズ宮古国際交流倶楽部
5 おわりに

第4章 コロナ禍における外国人労働者と農家との通信システムの変化  白崎弘泰

1 はじめに
2 技能実習制度と在留資格・「特定技能」
3 外国人労働者の受入システムの変化
4 実習生のスマートフォンの所有と使用の状況
5 通信システムの変化と古い通信システムの併存
6 特定技能の受け入れによる使用するSNSの変化
7 まとめ

第2部 危機における回路:生存を媒介するメディアとコミュニケーションの再編成

第5章 魯迅「鋳剣」再読
 危機のコミュニケーションを考えるために  清水賢一郎
1 危機について考える手がかりとして
2 「鋳剣」を読み直す
3 鋳剣?
4 わり切れなさのダイナミズム

第6章 中国農村部におけるコロナ危機とメディア  小林宏至

1 避けがたい困難な状況でひらかれる回路
2 中国農村部における危機回避のための回路
3 コロナ禍における情報のやりとりの変化
4 親族グループで情報を共有すること
5 「すぐに動き出した回路」と「すぐに動かなかった判断」

第7章 海の暮らしの危機
 〈漂海民〉モーケンの船との関係性の変化から読み解く  鈴木佑記

1 〈漂海民〉モーケンの住まい
2 メディアとしての伝統船
3 伝統船造りの衰退から消滅へ
4 危機後の新たな船の登場

第8章 地方消滅の危機と文化観光
 文化の価値の「スケーリング」試論  天田顕徳

1 はじめに
2 地域消滅の危機
3 鶴岡市中期観光戦略プラン
4 文化・観光・経済の好循環モデル
5 目指すもののズレ
6 結論

第3部 例外状態と公共圏の再編:抵抗・連帯・救済のメディア論

第9章 メディア機能としての「危機」  鈴木純一

1 危機と日常・非常
2 例外状態と決断:カール・シュミット
3 国民国家と「均質で空虚な時間」:アンダーソン
4 危機と「現在時」:ベンヤミン

第10章 メディアの危機と対策
 台湾の市民が創り出したDIYジャーナリズム  許仁碩

1 はじめに
2 危機、DIY精神とジャーナリズム
3 台湾80、90年代の民主化運動と「チーム緑」
4 2014年「ひまわり運動」をめぐるDIYジャーナリズム
5 メディアの危機を対処するDIYジャーナリズム:その機能と限界

第11章 危機における祈り
 敵と味方を生み出すメディアとしての宗教と信仰  藤野陽平

1 はじめに
2 台湾史における度重なる植民地化と信仰
3 エスニシティ間の紛争の犠牲者を祀る客家の義民廟
4 清朝の鎖国解除、西洋列強の流入と日本の台湾出兵
5 日本統治期と戦後の独裁政権、民主化運動
6 戒厳令解除と祈りの自由化
7 おわりに:危機の中、祈りを通じて誰とつながるのか

補章 生成AIと危機  辻本篤

あとがき