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部内共同研究プロジェクト

東アジアメディア文化交流研究プロジェクト

2012年3月31日 過去の共同研究テーマ一覧

〇共同研究メンバー(*は共同研究代表者)

渡邉浩平(教授・東アジアメディアセンター)*

金成玟

西茹

藤野彰

玄武岩

〇研究の背景と目的

「東アジアメディア文化交流プロジェクト」は、日本、韓国、中国の良質な映像素材を鑑賞し、東アジアのメディア研究者、制作者との間で意見交換をはかり、相互理解を深め、その議論を広く社会に還元し、東アジアの地域交流の一助に育てることを目的とする。東アジアメディア研究センターではすでに幾度か、同様の趣旨の活動を行ってきたが、本年度より改めて「東アジアメディア文化交流プロジェクト」として、まとまりのある実践的研究活動として位置付け実施する。

〇本年度の研究概要

本年度はまず、5月に韓国のドキュメンタリー作品を札幌で上映する。さらに、2013年3月を目途に、日韓のドキュメンタリー作品を、中国にて上映する。上記の中国の活動が、本予算申請の対象となる。中国では現在、急速な経済発展の歪みや、また、集権的な統治により、さまざまな社会問題が発生している。環境問題、労働争議、さらに開発のための土地収用に端を発する住民運動など、現代化の過程において避けられない諸問題が隣国中国で出現している。本年初年度の「東アジアメディア文化交流プロジェクト」では、かつて日本と韓国が経験したさまざまな社会的矛盾を捉えた作品を中国で上映するものである。その際、作品の制作者に同行を願い、中国のメディア研究者やメディア制作者を招き、作品を鑑賞しつつ、議論を行う。東アジアメディア研究センターでは、一昨年来、「日韓中テレビ制作者フォーラム」に関わり、昨年は札幌大会の開催に協力した。そのネットワークを活かし、日本と韓国の制作者との連携のもとに本事業を進める。本年度は、実験段階であるため、日本と韓国の制作者各一名と、作品数本を、北京、広州で上映する。日本からの出品は70年代~80年代に制作された、環境問題(水俣病)ないし、労働争議(炭鉱)を描いたドキュメンタリー作品を考えている。韓国からどのような作品を提供してもらうかは未定、上映作品についてはこれから詰める。

なお、中国においてメディアは厳しく統制され、社会派ドキュメンタリーの上映についても、中国側の協力機関の審査が必要となる。そのため、開催場所は、北京においては国際交流基金北京事務所ホール(100名収容可能)を使用し、広州では、中山大学メディア学院の施設で実施する予定である。上記を選択する理由は、北京での開催についてはさまざまな制約が想定され、そのため日本の組織である国際交流基金の了承を取り付ければ実現可能な基金北京事務所を開催場所候補とした。なお、国際交流基金北京事務所に対してはすでに、渡邉が2012年3月に訪中した折に、所長及び担当者と面談し、上記プロジェクトの趣旨を説明している。また、国際交流基金北京事務所に対しても、日中の交流事業として、若干の予算申請を行う予定である。また、中山大学メディア学院とは、これまでもさまざまな交流を図っており、加えて、広東省は中央からの統制が比較的緩い地域であるために、実験的な試みを受け入れやすいと考えた。

本プロジェクトは、玄武岩が研究代表者である科学研究助成事業基盤研究C「東アジアにおける越境的リージョナル放送空間の基盤構築のための実践的研究」、渡邉が研究代表者である科学研究助成事業基盤研究C「中国メディアにおける民間セクターの形成」などの研究プロジェクトと連動しすすめる。なお、玄、渡邉の研究プロジェクトでは、東アジアにおける大衆文化の交流、伝播、市場化などについても研究を進めているため、「東アジアメディア文化交流プロジェクト」では、営利的な枠組みにはのりにくい作品を中心に交流活動をすすめる。

〇期待される成果

初年度のプロジェクトで得られた議論は、活字メディアやウェブサイトで広く情報発信を行い、学会のワークショップなどで、報告を行う。さらに、初年度の実績を確認しつつ、次年度以降のプロジェクトの立案作業をすすめ、さまざまな組織を巻き込みつつ、広がりのある実践的研究活動に育てていく。「東アジアメディア文化交流プロジェクト」は、日中、韓中、日韓のメディア文化の交流に寄与するのみならず、東アジアにおける相互認識を深め、学術基盤の形成に貢献するものであり、それをもって、メディア・コミュニケーション研究院における実践的な東アジアメディア研究の研究蓄積とネットワーク形成に資するものと考える。