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部内共同研究プロジェクト

プロジェクトの概要

2016年1月20日 東アジア領域を対象とする異文化コミュニケーション研究

このプロジェクトは、日韓のディスコースの差異を明らかにすることを目的とし、東アジア域内における異文化コミュニケーション研究と位置付けられる。本プロジェクトは、特に日韓の議論の構造とヘッジ(断言や直接的表現を和らげる表現)についての差異を明らかにすることを二本の柱とする。

 議論とは日常的に様々な場面で合意形成を助ける重要なコミュニケーション行動である。議論の文化差に関する研究は、異文化の人々が接触・交流する際に生じるコミュニケーション上の問題を理解する手掛かりとなる。また、この研究は西洋を中心に構築されて来た議論に関する理論的枠組みの妥当性を検証することにもつながる。ヘッジ表現はどの言語にもある普遍的な語用論的現象である。しかし、その実現方法やヘッジが使われるべき適切な量についての認識には文化間の差があると考えられるが、この点についての研究は不足している。

 以上二つのコミュニケーション行為に関し、先行研究は異文化間の差異を西洋対東洋という極めて大まかな枠組みの中でのみ捉える傾向があった。それに対し、本研究は、東アジアの二カ国(特に日本と韓国)に焦点を絞り、議論構造およびヘッジ使用の類似点・相違点を詳細かつ体系的に分析する。日本と韓国は文化的に共通点が多いが、歴史・思想等の違い(例えば孔子思想の影響・浸透度などによる価値観の違いなど)によりコミュニケーション行動には違いがあると予測される。実際、李(2009)の研究はすでにその予測を一部裏付ける手がかりを提供している。それらの相違が日韓の交流・交渉上の障害を作る隠れた原因となっていることは十分に考えられる。本研究は、議論とヘッジ表現について、日韓の文化に固有の特徴と共通点を明らかにし、相互理解と円滑なコミュニケーションの促進に資するものである。また、本研究をきっかけとした東アジア域内の異文化コミュニケーション研究の展開も期待される。

共同研究メンバー:

鈴木 志のぶ 言語伝達論分野・教授(研究の統括、議論構造研究担当)

李 鳳 言語習得論分野・助教(ヘッジ研究担当、議論構造研究の監修)

金 ソンミン 国際地域文化論分野・准教授(研究の監修)

李 相哲(Lee, Sang-Chul)成均館大學校(韓国)・教授(研究の監修、データ収集)