2024年2月13日鈴木志のぶ特任教授の論文An adaptationist model of selfhood: Examining the cross-cultural measurement invariance of the scales of dual independence and interdependence. Asian Journal of Social Psychology (2024)出版のお知らせ

本学院所属の鈴木志のぶ特任教授の論文がAsian Journal of Social Psychology誌（vol. 27, issue 1, March 2024, pp. 42-59, John Wiley & Sons, Inc.）に出版されましたので、お知らせいたします。DOI: https://doi.org/10.1111/ajsp.12580


要旨
本研究では4因子から成る適応論的自己観の概念（Hashimoto & Yamagishi, Asian Journal of Social Psychology, 2016, 19, 286）とその測定尺度について、これまで十分ではなかった異文化間（日米）の妥当性、信頼性の検証を行った。確認的・探索的因子分析に基づく検証により、尺度に一部修正を加え、多群確認的因子分析により、修正後の尺度が日米2群間で同様に測定手段として機能することを示した。また、本尺度の構成概念妥当性、予測的妥当性についても2群に共通して肯定的な結果が得られることを示した。
文化的自己観の概念は異文化間のコミュニケーション行動の差を説明する有力な個人レベル変数の一つとして、過去多くの研究で用いられたが、従来の2因子から成る文化的自己観の測定尺度の妥当性には重大な批判も多く、コミュニケーション行動の予測においても必ずしも期待通りの成功を収めて来なかったと言える。本研究は、適応論的自己観理論の文化を超えた有用性と測定の等価性を示したことで、今後の研究を促すものと期待される。