正月と春節

渡邉浩平教授

毎年1月下旬から2月上旬の旧正月には、東アジアから多くの観光客が来日します。しかし中国語で「春節」と呼ばれるこの時期、日本では休暇をとる習慣はありません。日本が暦を太陽暦にかえたのは、明治初年のことです。以来、新年を太陽暦で寿いできました。陽暦の正月は、これから寒さが厳しくなる時期にあたります。でも年賀状には梅を描き、七草のお粥を食べます。中国で春節を過ごすと、「迎春」が実感できます。まさに寒さが底を打ち、春がはじまる時期だからです。なぜ日本は、気分だけ春を残し、暦は太陽暦にかえたのか、疑問がわいてきます。このような些細な事例からも、自他の社会や文化を知り、対話をすることが大切であることはお分かりいただけると思います。その際、他者とのコミュニケーションやメディアが欠かせないものとなります。

そもそも、コミュニケーションやメディアはそれぞれの社会でどのような役割を果たしてきたのでしょうか。そのような問題を考える際、コミュニケーションの基本となる言語や、両者と密接に関係する文化も仔細に見ておかねばならないでしょう。現実の社会に眼を転ずると、情報を伝えるメディアや、組織が社会と対話する広報は、大きな産業として機能しています。それらのことを知ることによりはじめて、アジアからの観光客や世界の人々に、適切に情報を発信し、対話ができるようになるのです。国際広報メディア研究コースは、そのようなことを学ぶ場です。

国際広報メディア研究コース長 渡邉 浩平教授

研究と教育の目的

「メディアとコミュニケーション」から現代社会をみる

本研究コースは、「メディアとコミュニケーション」の視点から現代社会を調査・分析することを研究の基本としています。それは、わたしたちの社会が、高度に情報化し多様化し、同時に、グローバル化とローカル化という両極に分化しているからです。メディアとコミュニケーションの視点を抜きにしては、現代社会は語れません。

国際広報メディア研究コースでは、両者の研究を通じて、現代社会の急激な変化に対応できる行動力を持った人材を育成し、メディアとコミュニケーションに関わる広範囲な領域において優れた研究を遂行できる研究者の養成を教育の目的とします。一専攻となった2019年度からは、さらに多彩なコース融合科目を設け、メディアと観光の融合という新たな知見を備え、これからの時代に求められる人材を育成しています。

専門科目

国際広報メディア研究コースのコース専門科目は、「国際広報」、「公共ジャーナリズム」、「言語コミュニケーション」、「メディア文化」の4つの科目群で構成されています。授業は、各科目群に対応する講座(国際広報論講座、公共ジャーナリズム論講座、言語コミュニケーション論講座、メディア文化論講座)と現代日本学講座の教員、および、学外の専門家が担当します。

国際広報メディア観光学院の特徴の一つに、学外の講師による実践的な授業が挙げられます。コース専門科目では、野村総合研究所の現役コンサルタントが講師をつとめる「国際経営戦略論演習」や「広報企画論演習」、さらに、読売新聞社による「実践的メディア・ジャーナリズム論演習Ⅰ、Ⅱ」が開講されています。

また、上記のコース専門科目に加え、メディアと観光を架橋する「コース融合専門科目」でも、野村総合研究所の現役コンサルタントが講師をつとめる「デジタル・コミュニケーション論演習」や、電通による「広報・広告産業論演習」といったメディア、経営の第一線の実務者による授業が開講されています。上記二つの科目は北海道大学の大学院共通科目として指定されており、全学から多くの大学院生が受講します。